歯を失う歯周病

歯と歯茎の仕組み

歯は、歯冠部と呼ばれる外から見える歯の部分と、歯茎の内部に隠れる歯根部で構成されています。通常、歯冠部の歯の表面は「エナメル質」という固い組織で守られています。歯根部は象牙質やセメント質からなり、その内側には歯の神経である「歯髄」があり、神経や血管から象牙質に酸素や栄養を供給する役割を担っています。

歯茎は歯の周りを取り囲む粘膜で、歯と歯茎の境目には、歯根膜という膜があり歯や骨に加わる過剰な力を逃すクッションの役割を果たしています。さらに、歯茎の内側には歯槽骨と呼ばれる歯を支えている骨があります。健康な歯茎は、歯との間にほとんど隙間がなく、内部に細菌が入り込むのを防いでいます。

歯周病とは

歯周病は、細菌の感染によって歯茎が炎症を起こす疾患です。

歯と歯茎の境目である歯肉溝に、食べカスや歯垢(プラーク)の磨き残しがあることで、そこに多くの歯垢などの細菌が停滞・増殖します。この細菌に感染することで、歯茎の周辺が炎症を起こしてしまい、腫れなどが見られるようになります。悪化すると歯と歯茎の隙間が深くなった「歯周ポケット」から、歯を支える歯槽骨にまで歯周病菌は進行し骨を溶かし始めます。この段階で治療せずに放置してしまうと、骨は溶け続け次第に歯がグラグラと動くようになり、最終的に歯が抜け落ちてしまいます。さらに歯周病は、口腔内だけでなく歯茎の毛細血管などに侵入し、血液と一緒に全身に運ばれてしまいます。歯周病菌が全身に運ばれてしまい、「エンドトキシン」という内毒素を撒き散らすことで、糖尿病や心疾患などの全身疾患の発症や悪化に繋がってしまうのです。歯周病は、全身の健康にも悪影響を及ぼしてしまう危険性があるのです。

歯周病の原因

口腔内にはおよそ300~500種類の細菌(常在菌)が存在しています。これらの菌が、歯磨きが十分でなく磨き残しが増えてしまったり、糖を含む食べ物などを過剰に摂取することで、ネバネバした物質である歯垢(プラーク)を作り出してしまい、歯の表面にくっつきます。歯垢は粘着性が強く、うがいをした程度では落ちません。

この歯垢の1mgの中には約10億個の細菌がいるといわれており、これらが虫歯や歯周病を引き起こすのです。その中でも、歯周病を引き起こす細菌が特異的に存在していることが解明されています。歯周病とは、この歯垢の中の細菌によって歯茎が炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かしていく病気のことです。また、歯垢は取り除かなければ唾液のミネラル成分によって石灰化してしまい、石のように硬い歯石という物質に変化してしまい、歯の表面に強固に付着します。歯石になってしまうと、ご自身でのブラッシングだけでは取り除くことができなくなってしまいます。歯石の表面はザラザラしているため、歯垢が付着しやすく、歯石の中や周りに更に細菌が増殖して、歯周病を悪化させる毒素を出し続けるのです。

歯周病の進行過程

健康な歯茎

薄いピンク色をしていて、歯と歯の間に歯茎が入り込んで弾力があり、歯茎が引き締まっています。歯磨きの際のブラッシングでは出血は見られません。

歯肉炎

歯茎のみに炎症を起こしている状態で、歯と歯の間の歯茎が炎症を起こし、丸みを帯び膨みます。歯磨きの際にブラッシングで出血しやすくなり、腫れた歯と歯茎の間の歯周ポケットの深さが3mm以内の状態で、歯垢が溜まると悪化してしまいます。

軽度歯周炎

歯茎の炎症が内側へ進行していき、歯を支えている歯槽骨を溶けだした状態のことを歯周炎といいます。軽度の場合、歯周ポケットの深さが3~4mmで、歯磨きの際に出血が見られたり、歯茎が腫れたように感じるのが特徴ですが、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、この段階で気付くのはなかなか難しいです。

中等度歯周炎

さらに症状が進行し、歯周ポケットの深さが5~7mmになってしまい、歯槽骨が3割から6割ほど溶けてしまった状態です。この状態まで進行すると、冷たいものがしみるようになり、歯茎が腫れたり治ったりを繰り返します。また、歯がグラグラし始め、歯茎から膿がでたり口臭があります。

重度歯周炎

かなり症状が悪化してしまい、歯周ポケットの深さ7mm以上で、歯槽骨の6割以上が溶けてしまった状態です。歯がグラグラするため、硬い物などが噛みにくくなります。また、歯の周囲を指で押すと白い膿が歯の周囲から出て、口臭が強くなることもあります。歯磨きの際は、毎回出血するようになります。さらに、歯が長くなったと感じたり、歯と歯の間の隙間が大きくなり、食べ物が詰まりやすくなったりします。ここまで症状が悪化すると、放置することで歯が自然に抜け落ちてしまう場合もあります。

歯周病が全身に及ぼす悪影響

糖尿病

歯周病は、糖尿病の合併症の一つともいわれており、深い関係性があります。歯周病菌の死骸の持つ内毒素が、血糖値に悪影響を及ぼしてしまいます。血液中の内毒素は、脂肪組織や肝臓からのTNF-α(腫瘍壊死因子)の産生を強力に推し進めます。TNF-αは、血液中の糖の吸収を抑える働きもあるため、血糖値を下げるインスリンがでにくくなってしまうのです。そのため、血糖コントロールができなくなってしまうことで、免疫力が低下したり、細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下、口腔内の乾燥などが生じることによって、歯周病を悪化させてしまうのです。つまり、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼしあっているため、歯周病を治療することで糖尿病も改善することも分かっています。

脳梗塞

脳の血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが運ばれることで脳血管が詰まる病気です。歯周病の方は約3倍の脳梗塞のリスクがあるといわれています。また、血圧やコレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療が重要となります。

心疾患

動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、歯周病原因菌などの細菌感染が悪影響を及ぼしているのです。歯周病原因菌などの刺激によって、動脈硬化を誘導する物質がでて、血管内にプラークができてしまうことで血液の通り道は細くなります。プラークが剥がれて血の塊ができると、血管が詰まってしまい、心筋に血液供給がなくなってしまう原因になることがあるのです。

妊娠性歯肉炎

妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれており、エストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促したり、歯茎を形成する細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。そのほか、プロゲステロンという女性ホルモンは、炎症の原因となるプロスタグランジンを刺激します。これらの女性ホルモンは、妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれているため、妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。しかし、基本的に歯垢などが残っていない清潔な口腔内では起こりにくく、起こったとしても軽度ですみますので、妊娠中は正しいプラークコントロールが必要です。

骨粗鬆症

骨粗鬆症の方において、歯周病が進行しやすい最も大きな原因として考えられているのが、女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏です。エストロゲンの分泌が少なくなると、全身の骨が脆くなるとともに、歯を支える歯槽骨も脆くなります。さらに歯周ポケット内では、炎症を引き起こすプロスタグランジンが作られてしまうため、歯周炎の進行が早くなると考えられています。

また、骨粗鬆症の方は骨を強くするビスフォスフォネート製剤を服用している場合が多く、服用している方が抜歯などをおこなうと、歯茎の治癒が遅くなり、歯茎から骨が露出してしまうだけでなく、最悪の場合、顎の骨が壊死する「顎骨壊死」を引き起こしてしまう危険性があります。そのため、歯周病によって歯がグラグラしているといって、ご自身で抜くなどということは絶対におこなわないようにしてください。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまう際に、食べ物などと一緒に口内の細菌を飲み込んでしまい、むせたりすることで細菌が気管から肺の中へ入ることで発症する肺炎です。本来、肺や気管は咳をすることで異物が入らないように守っているのですが、高齢になるとこれらの機能が衰えるため、その結果、免疫力の衰えた高齢者は誤嚥性肺炎を発症しやすくなるのです。中でも、脳血管障害の見られる高齢者に多く見られます。誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯周病菌であるといわれており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病を治療することが大切です。

歯周病のサイン

歯周病は、痛みなどの自覚症状がほとんどないため、なかなか気付くことが難しいのですが、口腔内に症状は見られます。そのサインに意識的に気付くことが、歯周病の早期発見に繋がるのです。

歯茎から出血が見られる

歯茎からの出血は、小さいけれど非常に重要なサインです。もしも出血が続くようでしたら、すぐに大分県のかかりつけの歯科医院で診てもらいましょう。歯茎からの出血は、炎症が起きている場合が多いため、歯周病、もしくは歯周病予備軍といえるのです。

歯茎の腫れやかゆみ

歯茎に違和感がでてくるのは、何らかの問題が起こっているサインです。歯茎の出血よりも症状がやや進行している場合が多いですので、決して見逃さないようにしましょう。

口の中がネバネバする

口腔内がネバつく原因は様々ですが、起床時に口が酷くネバネバしたり、苦い味や膿の味がする場合は、すぐに大分県の歯科医院で診てもらいましょう。

口臭がきつくなる

口臭も歯周病のサインの一つです。しかし、口臭=歯周病と一概にいうことはできないため、一つの判断基準として、気になるようでしたら大分県の歯科医院にご相談ください。

他にも、「硬い物が食べづらい」、「歯がぐらぐらする」、「歯茎が下がって歯が伸びて見える」、「食べ物が歯の間に挟まりやすくなった」なども歯周病のサインの場合があるため注意しましょう。

歯周病の治療と予防

歯周病は、治療や予防が可能です。歯周病は早期の段階で治療をおこなうことが重要です。また、口腔内を常に清潔に保つことが大切なため、まずはご自身での毎日の正しい歯磨きなどのセルフケアをおこない、口腔内を歯垢などの細菌のない清潔な状態にしておきましょう。また、大分県のかかりつけの歯科医院での定期的なメンテナンスをおこないましょう。歯科医院での検診によって、歯垢や歯石の有無の確認、また早期段階で歯周病を発見することもできます。治療では、歯垢や歯茎の中まで入っている歯石も、専用の器具でキレイに取り除き、さらに根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去することができます。また、定期的に検診を受けることで、傷んだ歯茎や骨を治療して健康に近い状態に戻すことも可能です。大分県のかかりつけの歯科医院での定期的なメンテナンスをおこなうことが、歯周病の早期治療や予防に繋がるのです。

 

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