自分の歯とインプラントの違い

インプラントとは、急な事故や怪我、虫歯や歯周病により歯を失ってしまった際に、顎の骨に人工の歯根であるチタン製のインプラント体を埋入することで、骨とチタンが直接強固に結合する「オッセオインテグレーション」という特徴を利用した治療法です。顎の骨とインプラント体が強く結合することで、しっかりと噛むことができるようになり、人工歯(被せ物)も患者さんご自身の歯の色や形に合わせて作製するため、見た目もほとんど天然歯のような美しい仕上がりになります。そのため、インプラントは歯本来の機能面や、審美面を取り戻すことが可能な治療方法なのです。では、インプラントと天然歯の違いはどのようなことがあるのでしょうか。

インプラントと自分の歯との違い

歯根膜があるかどうか

天然歯は、直接顎の骨に接して埋まっているのではなく、歯根膜と呼ばれる沢山の細かな靭帯で支えられていますと。歯根膜は、物を噛む力が歯に伝わった際に、その力の衝撃を吸収して力を分散するというクッションのような働きをしています。天然歯と歯根膜の間には一定の幅があり、噛む力が働くと、この幅の分だけ歯が動くのです。動く幅は数十ミクロン程度といわれています。ですが、インプラントにはこの歯根膜が存在しないのです。インプラントは直接骨と接触しているため、噛む力が歯に伝わっても動くことはほとんどありません。私たちの噛む力は、自分の体重と同じくらいの力があるといわれており、食事のたびに歯にはそのくらい大きな力がかかっているのですが、天然歯は歯根膜によってその衝撃を吸収し、和らげているのです。しかし、インプラントには歯根膜がないため、直接骨へ衝撃が伝わってしまうのです。歯根膜がないという点が、インプラントと天然歯の大きな違いです。

知覚神経があるかどうか

天然歯に過剰な力がかかってしまった際に、反射的に噛む力を弱めるという反応を起こします。これは、歯根膜の中に噛む力を感知する「知覚神経」が通っているためです。しかし、インプラントは歯根膜がないため、知覚神経もなく顎の骨に過剰な負荷がかかるような強い力が加わってしまっても回避することができません。この場合、歯列全体の噛み合わせを調整することで、特定の歯だけに強い負担がかからないようにすることができますが、歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合には注意が必要です。歯ぎしりや食いしばりはインプラントだけでなく、他の健康な歯も痛めてしまう場合があります。そのため、就寝時にはナイトガードなどを使用することで、歯にかかる負担を軽減することができるためお勧めです。ナイトガードは、市販でも購入することが可能ですが、歯に合わないことから噛み合わせを悪くしてしまう場合もありますので、必ず大分県の歯科医院で専用の物を作ってもらうようにしてください。ナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりの対策だけでなく、顎関節への負担も軽減することができるため、顎関節症の対策にも繋がります。

血液供給の違い

歯根膜には、知覚神経だけでなく血管も通っており、周囲の組織に血液を供給し、栄養を補給する役割を果たしています。天然歯には歯槽骨、歯肉、歯根膜の三方向から血流供給があるため、歯垢(プラーク)などによって炎症が起きてしまっても、血液中の白血球が防御する働きをしてくれています。しかし、インプラントの場合は血流供給が歯槽骨と歯肉からしかないため、天然歯に比べて抵抗力が低く、歯垢の付着などで歯の周辺に炎症が起きてしまった場合、悪化しやすい傾向にあります。

線維の付着の違い

天然歯の歯茎には、歯根面に対して水平、垂直方向に繊維が付着しているのですが、インプラントの場合はインプラント体に対して水平方向の繊維しか付着していないため、付着力は弱くて剥がれやすく、一度炎症を起こしてしまうと進行しやすいという特徴があります。

インプラント周囲炎に気を付けましょう

インプラントは虫歯にはなりませんが、インプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」になってしまいます。インプラントには歯根膜がないため、一度炎症を起こしてしまうと、天然歯よりも早く進行してしまいます。さらに、インプラントは痛みなどの感覚がないため、ほとんど自覚症状のない初期段階のインプラント周囲炎には、なかなかご自身では気付くことができず、気付いた時には症状がかなり悪化してしまっている場合が多いのです。インプラント周囲炎は、歯茎から歯槽骨にまで進行して徐々に骨を溶かしてしまいます。この段階で治療をせずに放置してしまうと、溶かされた骨がインプラントを支えることができなくなってしまい、最悪の場合インプラントが脱落してしまう危険性もあるのです。高い費用と長い期間をかけて治療したインプラントを失わないためにも、定期的に大分県の歯科医院でのメンテナンスを必ず受けるようにしましょう。

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