インプラントを受けられないケース

歯を失ってしまった際に、歯の機能を取り戻すことのできる治療法して多くの方がインプラント治療を受けています。しかしインプラント治療は誰でも受けられるというわけではないのです。ではどのような場合、インプラントを受けることができないのでしょうか。ご説明いたします。

インプラントを絶対に受けられないケース(絶対的禁忌症)

血液疾患がある方

白血病や血友病などは出血を伴うインプラント手術は禁忌とされているため、絶対に受けることができません。

1型糖尿病

膵臓のインスリンを出すβ細胞が壊されてしまい、インスリンがほとんど出なくなる1型糖尿病は、免疫力の低下により傷が治りにくいため、細菌の感染リスクが高くなるだけでなく、インプラント体と骨が結合することに対しても悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、インプラント治療が失敗するリスクが高いので、絶対に受けることができません。

免疫不全

リウマチや天疱瘡、膠原病などにかかっている方が服用しているステロイド薬が、顎の骨の治癒やインプラント体と骨の結合に悪影響を及ぼしてしまうため、インプラント治療の失敗のリスクが高いので、絶対に受けることができません。

放射線治療中

放射線治療を受けている方で、中でも顎に放射線を当てている場合、外科処置は禁忌です。さらに麻酔をおこなうことで骨髄炎を併発する危険性があるため、絶対に受けることができません。

未成年者

顎の成長が発達途中である未成年の方は、インプラントを埋入した位置が骨の成長と共に変化してしまうため、治療は絶対に受けることができません。一般的には成長が終わる20才以上から、インプラント治療は受けることができます。

妊娠中

インプラント治療にはレントゲン撮影や手術の際の麻酔、抗生物質や痛み止めの薬の服用などが必要となるため、妊娠中の母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性があるので、治療は避けましょう。

場合によってはインプラントを受けることが可能なケース(相対的禁忌症)

全身疾患などがある方でも、状態が改善され、手術に対するリスクも少ないと判断された場合、インプラント治療が可能になるケースです。

2型糖尿病

血圧が高くても専門の医療機関で治療を受けており、インスリン注射などで血糖コントロールが可能な方は、インプラント治療をおこなうことができる場合もあります。治療を希望する場合は、かかりつけの主治医の許可の下、歯科医師にも必ず病気のことを伝えてください。その場合、インプラント治療を受けた後も血統コントロールされているかを経過観察したり、臨床検査などをおこないます。

骨の量が足りない場合

インプラント治療は、顎の骨にインプラント体を埋込するため、顎の骨の量が足りないとインプラント体を固定することができないため、骨の量を増やす手術が必要になります。その場合、通常のインプラントの治療期間よりも半年から1年ほど長くなり、さらに、手術の回数が増えてしまうため、身体的・精神的に負担がかかってしまいます。

骨粗鬆症 (こつそしょうしょう)

骨粗鬆症の方で、治療のためにビスフォスフォネート製剤を服用している場合は治療が受けられません。骨粗鬆症は骨の量が減ってしまうため、骨が弱くなってしまい、骨折しやすくなる病気です。ビスフォスフォネート製剤は、骨の代謝を止めることで骨が溶けるのを防ぐことができるのですが、新たに骨や歯茎などの組織を作る機能も制御されてしまうため、傷が治りにくく、抜歯後の穴が埋まらずに骨が露出してしまうだけでなく、最悪の場合は顎の骨が壊死してしまう「顎骨壊死」の危険性もあるのです。そのため、ビスフォスフォネート製剤を服用している人は、服用を止めることか可能かどうか、かかりつけの主治医の許可が必要になります。さらに、主治医と歯科医師との連携も必要になるため、必ず歯科医師に病気のことを伝えてください。

重度の歯周病

重度の歯周病の方はインプラントを埋入した後、インプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」を引き起こすリスクが高くなります。初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気づいたときには症状がかなり進行している場合が多いです。進行すると、インプラントを支えている歯槽骨を吸収してしまうため、最終的にはインプラントが駄目になり、撤去しなければいけない場合もあります。そのため、インプラントを受けるためには、事前に歯周病の治療をおこなうことが必要になります。

 

・喫煙者

タバコに含まれるニコチンによって血流が悪くなるため、傷が治りにくく、インプラント体と骨との結合にも悪影響がでてしまうため、インプラント治療期間中は禁煙が必要となります。しかし、治療後も喫煙は悪影響を及ぼす原因になるため、少しでも長くインプラントを使用できるためにも、治療をいい機会として禁煙して頂くことをお勧めいたします。

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