インプラントの最大のメリットは、しっかりと噛むことができるという「歯本来の機能を回復できる」ことです。義歯（入れ歯）やブリッジのように周囲の歯に頼ることなく、埋入したインプラント体が骨としっかり結合することで、まるで天然の歯のように自然な噛み心地が得ることができます。
しかし、インプラント治療は保険適用外治療（自由診療）となるため、治療にかかる費用は高額になってしまいます。そのため、治療後のインプラントを長く快適に使用するためは、正しいメンテナンスが必要なのです。
インプラント周囲炎に注意しましょう
インプラントは人工歯なので虫歯になることはありません。しかし、歯磨きなどのセルフケアが不十分だと、口腔内に歯垢（プラーク）という細菌の塊が歯や歯と歯茎の隙間に付着して、インプラントの周囲の歯茎や骨に炎症を起こす可能性があります。これをインプラント周囲炎といい、インプラントの歯周病になってしまうのです。症状として、歯茎の痛みや腫れ、出血、歯茎が下がるなどですが、痛みや腫れなどの自覚症状がほとんどないため、初期の段階ではなかなか気付くことが難しいです。そのため、放置してしまうことで、進行が進みインプラントを支える歯槽骨を溶かしはじめてしまい、最悪の場合、インプラントを支えることができなくなり、インプラントが脱落することもあります。
天然の歯は「歯根膜」、「歯肉」、「歯槽骨」の三方向からの血液供給があります。これによって好中球が存在するため、細菌が侵入してきても十分な抵抗力を発揮します。インプラントは、天然歯と違い「歯根膜」がないため、歯茎への血液供給が少ないことから、好中球も出現が乏しく細菌に対する防御機能が弱いため、細菌感染してしまうと細菌が増殖しやすいといった特性があります。さらに、天然歯より細菌に対する抵抗力が弱い分、炎症が急速に進行してしまうのです。
インプラントの保証が使えなくなる
インプラント治療には、治療後、期間内でのトラブルがあれば無償で対応してもらえるインプラント保証制度が付けられています。しかし、規定以外のトラブルや故障は、その保証がきかなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
インプラント保証制度とは
インプラントには「欠ける」、「割れる」、「脱落する」といったトラブルに備えた保障である、インプラント保証制度が付けられているのが一般的です。治療した歯科医院、または保証会社などが修復や再手術などにかかる費用を補償してくれるという制度です。保証範囲や条件などは様々なため、必ず事前に確認しておきましょう。
保証適用条件がある
インプラントは基本的に保険適用外治療（自由診療）となるため、費用が高額なことから経済的負担も大きいため、保証制度があると心強いです。しかし、どんな場合でも保証されるというわけではなく、一定の条件が課せられているのが一般的です。インプラントの保証が適用になる一般的な条件が、「歯科医院での定期的なメンテナンスをおこなっていること」です。規定されているメンテナンスをおこなわずにトラブルが起こってしまった場合は、「メンテナンスを怠った本人の責任」と判断され、保証の対象外となる可能性が高いです。
インプラントは、天然歯よりも根元のくぼみが大きいため、磨きにくいことも理解しておく必要があります。インプラント治療後において、もっとも大切なメンテナンスが、毎日のご自身での歯磨きなどのセルフケアです。その際、歯科衛生士に指導された適切なブラッシング方法で磨くようにしましょう。さらに、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助用具を使っての清掃も効果的です。インプラント治療後は、少なくても年に1～2回は、歯科医院によるメンテナンスをおこなうことが望ましいです。また、歯周病に対する危険性が高い場合は、1～2か月ごとの通院が必要になることもあります。メンテナンスの頻度については、大分県のかかりつけの歯科医院の医師の指示に従ってください。ご自身の正しい歯磨きと歯科医院での定期的にメンテナンスを適切におこなうことで、インプラントは半永久的に使用できるといわれています。
歯科医院での定期的にメンテナンスの内容
歯科医院での定期的にメンテナンスでは、インプラントや、歯や歯茎の状態をチェックし、虫歯や歯周病の有無の確認をおこないます。また、インプラント周囲の骨の状態を目視で確認できないため、X線を使用してチェックします。他にも、歯のクリーニングをおこない、歯に付着した歯垢や歯石などの汚れを除去しますが、効果的な歯のクリーニングとして、医師や歯科衛生士が専用の機器を使用しておこなう「PMTC」は、歯茎の中の歯石や、細菌の集合体であるバイオフィルムもキレイに除去できるため、インプラント周囲炎や歯周病の予防に繋がります。さらに、歯科衛生士によるブラッシング指導を受けることで、正しい歯磨きの仕方を身に付けることができるので、セルフケアの向上に期待ができます。